学校現場で「ネット・ゲーム障害」への注意喚起がなされています。ゲーム障害は脳の理性が働かない状態ということで、アルコールやギャンブル依存症と同様だそうです。
かつて「ゲーム脳」が取りざたされていたことがありましたが、「ゲーム脳」は「ニセ科学」として現在は否定されています。さらに、ゲームやアルコール、ギャンブルに限らず、やりすぎは体に良くないことは周知の事実です。スポーツでも限度を超えると体に不具合が出てきますし。
最近の研究をみると、ゲームそのものが学力低下につながることはなさそうです。やりすぎが「学力低下に少しだけ影響する」というオーストリアの心理学者の研究結果が出ています。一日最大8時間ゲームで遊ぶ子供でも、学力への影響はわずかしか見られなかったそうです。
さらに、2019年に実施された、計量経済学の田中辰雄氏が行った1万5千人へのアンケート調査によると、中学生の時に「平日のゲームプレイ時間が1日1時間までの人」は「全くゲームをしない人」よりも、偏差値60以上の高校への進学率が高いことがわかったそうです。つまり、ゲームを少しする人のほうが、全くしない人より成績がいいとの結果になったということです。また、1日3時間以上の人は進学率が低くなっているそうです。
家庭学習の時間をおろそかにしてまでゲームを行っていると学力不振につながるのは言うまでもありません。ゲームを行っていても、学習時間を確保している人は、学力が下がらないし、上記の調査のように、偏差値の高い高校への進学率につながったのでしょう。
ネットやゲームを学力低下や心身の異常を生み出す悪者とする構図はわかりやすいですが、実際にはそこまで単純ではありません。ゲームやネットは脳の認知機能を高めるという研究結果も発表されていることからも、一概にゲームやネットは悪と決めつけはできないのではないでしょうか。